農業における抗生物質序論医療で抗生物質が使われ過ぎたために人体に抗生物質耐性バクテリアが出現したように、農業における使用もまた重大な問題があります。農業での抗生物質の使用と人体の抗生物質耐性にはやむにやまれぬ関連性があり、この関連性が医療研究者達を不安にさせています。 抗生物質は人体の治療のためだけではなく、農産業においての家畜の治療にも利用されています。家庭で飼われている動物や家畜は共に、細菌による疾病に侵されたときには抗生物質で治療されます。細菌は大体2.3週間の生命周期です。家庭で飼われている動物が抗生物質を使用するためには獣医の処方箋が必要ですが、畜産での抗生物質の使用ではその必要がありません。特にこの産業においての抗生物質に関する情報が欠如していた事と、幅広く抗生物質が使用されたために大きな関心事を引き起こしています。先進国に売られた大多数の抗生物質が農産業にて使用されており、また幅広く利用が可能です。 この産業において、抗生物質は病気の家畜治療のために使われるだけでなく、健康な家畜にもまた成長促進や疾病予防のために使われています。牛・羊・豚・養鶏の飼育には抗生物質の入った飼料が一般的です。この治療のためではない抗生物質の使用は工場式農場として知られる集約的農作業の運営において広く普及しています。狭く制限された空間に多くの家畜を収容する工場式農場は頻繁に疾病の影響を受け易い状態となっています。抗生物性質はこのような工場式農場で疾病の発生を防ぎ抑制するために大規模に使用されているのです。 家畜に抗生物質を与えることで、抗生物質に耐えられる細菌が出てきてしまいました。投与される抗生物質の量が非常に少ないため、工場式農場内とその周辺での細菌の抗生物質耐性は迅速な勢いで力を増しました。少量の抗生物質では少なすぎて細菌を死滅させることはできませんが、細菌にとって残存・変化し抵抗力を増して抗生物質耐性となるのにちょうど良い量なのです。実際のところ農場内の細菌は多種の抗生物質に渡り耐性を示しつつあります。 相互抵抗力抗生物質治療と家畜や人体への細菌の抵抗力との間のよりいっそうの強い関連性は大きな不安を呼んでいます。家畜やそれらの副産物を常に人間が食料として食べていることを考えれば、そこまで驚く話ではありません。この関連性に関しては未だに多くの食品産業界の人々から確固とした証拠がないことであると異論を唱えられています。しかしながら、その他健康部門の業界からはこの関連性は喫煙と肺がんの関連性と同じくらい強いと言われています。 この議論が起こるのは家畜の飼料として与えられる抗生物質と人々の病気を治す抗生物質が同じものであるからです。これは相互抵抗力を引き起こすと考えられています。実際、最新の研究ではどの細菌が抗生物質耐性の遺伝子を撒き散らすことができるかによってDNAのメカニズムをあらわにしました。言い換えれば、細菌は耐性を増すように変化するだけでなく、その耐性を異なった種類でたとえ種の共通性がまったくないような細菌にまでも与える事ができます。本来のところ、細菌は互いにどのように抗生物質の裏をかいて生きるか教えあうことができるのです。 例で言うと、1995年からアメリカやその他西部の国々でフルオロキノロンと呼ばれる抗生物質の種が細菌の耐性により効かなくなってしまっています。フルオロキノロンはその効き目が広範囲の細菌に有効(広域スペクトルとして知られています)であり、また副作用が起こりにくいので非常に貴重な抗生物質の種であるとされています。それゆえに、この細菌の耐性は医師の間で非常に危険とされました。1995年にフルオロキノロンはアメリカで家禽に対しての使用が認可されました、そしてバイヤーコーポレーションは連邦食品医薬品局が2005年中ごろにその使用を禁止するまで、継続してフルオロキノロンを家禽農場経営者に売り続けたのです。類似例としては、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアの家畜産業でのアボパルシンと呼ばれるグリコペプチド系抗生物質の大量使用のせいで、黄色ブドウ球菌のような深刻な感染症の治療薬として使われていた他のグリコペプチド系抗生物質であるバンコマイシンが細菌耐性を示されてしまいました。結果として、もはや治療することができない多数の細菌が発生してしまいました。ひとつ流布している細菌はVRE(バンコマイシン耐性)で、それは血液の中に入れば人を死に至らしめます。 あなたができること衛生学は、動物における抗生物質治療とヒトの抗生物質耐性間で重要な役割を果たしています。清潔に扱われていない肉には細菌が潜んでいる可能性があります。調理をした後にはきちんと手を洗い、ナイフやまな板も洗浄すること、そして調理した肉も中まで火がしっかり通っているか確かめることを消費者の方々にアドバイスします。 消費者は市場の流れに影響を及ぼします。それゆえに、消費者が抗生物質を含まない有機栽培の食物を購入することも市場に影響を与えているのです。抗生物質使用の問題は、主に精肉生産者、業者、買い手の間で取り上げられる関心事といえます。マクドナルドは主要な肉購買者でありますが、彼らが行ったこの問題に関するキャンペーンは良い結果に終わりました。マクドナルドは、家禽業者に発育を促進させる目的で使われる抗生物質の利用を廃止するよう要求し、これに応じた業者は取引上優先され、またそれらを確認するための監視システムを導入し始めたのです。 また、抗生物質を治療目的以外で使用する農産業への販売は中止されるべきであり、製薬会社には更なる圧力をかけるべきです。特に人間に使用される抗生物質に近いものの販売は禁止されるべきです。消費者が肉製品を購入する際、情報に基づいた決断が出来る様すべての産業に抗生物質使用の有無、また生産物の正確なデータを公表するよう要求しましょう。 政府代表に手紙・Eメールを送りましょう。農産業における治療目的以外の抗生物質利用の禁止、またそれらの規則に従順しているかどうかを確認するための監視システムの導入を推し進めましょう。 地元新聞社の編集者に手紙・Eメールを送りましょう。農産業における治療目的以外の抗生物質使用に関する考えを述べ、公表してもらうよう主張しましょう。 農業における抗生物質に関する環境団体をデータベースから検索してください。 農業における抗生物質について : 日本: 政府 日本: 政府 |